興味深いのは、やる夫のキャラクター設定がじつによく練られているという点だ。
やらない夫との関係性や、可愛い女の子を目にした時の行動など、「やる夫ならこういう行動をしそう・こういうセリフをいいそう」という人物設定が、きちんと出来上がっている。どこかに設定資料集があるわけでもないのに、『やる夫で学ぶ』シリーズの作者たちは彼の性格を完全に理解しているのだ。
やる夫はどうしようもないクズだ。けれど、根はイイやつとして描かれる。だから相棒のやらない夫やヒロインたちとの冒険を通して、教養やライフハックを身につけ、人間として成長していく。彼は「欠点だらけ・でも根はイイやつ」という好かれるキャラの典型なのだ。
やる夫は、誰かがデザインしたキャラクターではない。2ちゃんねるが創った集合知の産物だ。みんなの無意識が求めた人物だ。その「やる夫」が欠点だらけなキャラクターであることに、私は驚嘆する。なんてことだ、キャンベル先生の言うとおりじゃないか――。
ヒトが誰かを愛するのは、その人の欠点がいとおしいからなのだ。